天窓のメンテナンス方法と雨漏りのリスクについて解説
2024/07/03
天窓は、住宅を開放的な雰囲気にできるだけでなく、風を取り込むことや住宅内を効率的に明るくできる設備です。ですが、構造上雨漏りのリスクを抱える設備でもあります。屋根に設置された天窓は、太陽光や雨風の影響を受けやすく傷みやすいため、定期的な点検やメンテナンスが必要です。
この記事では、天窓のメンテナンス方法や雨漏りのリスクについて解説します。新築に天窓の設置を検討中の方や、天窓の雨漏りに悩ませている方、天窓について詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。
効率的に住宅内を明るくできる天窓
天窓は、文字通り住宅の天井部分である屋根に取り付けられる採光のための窓です。天井から住宅内に効率的に太陽光を取り込むことができるため、壁面に設けられる一般的な窓と比べて3倍の採光が期待でき、住宅密集地や人通りが多い道に面した住宅でも、プライバシーを守りながら採光できる特徴があります。
天窓を設置して二階部分を吹き抜けにする事で、一階部分にも太陽光を届けることができるため、壁面の窓が少ない住宅でも住宅内が暗くなる事を防ぎ、開放的な空間にできます。
天窓と雨漏りは切っても切り離せない関係
天窓は屋根の一部に穴を空けて設置するため、天窓を設置しない場合に比べて構造上雨漏りが起こる可能性が高くなります。もちろん、設置の際には雨漏りが起こらないように最大限対策を行いますが、経年劣化により天窓周りの様々な部材が傷んでくると、どうしても雨漏りを起こす可能性が高まってしまいます。
天窓の耐用年数はおよそ20年〜25年とされていますが、当時の天窓メーカーの多くが現在では天窓の取り扱いを終了しているため、アフターメンテナンスなどに必要な部品が手に入らないケースも多くあります。近年では天窓自体の性能が高まっており、ひと昔前の製品と比べて雨漏りが起きにくいとされています。
天窓が雨漏りを起こす原因
天窓が雨漏りを起こす原因は以下の通りです。
✅初期の施工不良
✅シーリング材やゴムパッキンの劣化
✅落ち葉などの堆積物によるオーバーフロー
✅天窓ガラスの割れ
✅窓枠の腐食
✅水切りエプロンや防水シートの劣化
初期の施工不良
天窓の設置は、本来雨漏り対策を十分に施してから設置されますが、天窓の設置に不慣れな業者が施工を行った結果、雨漏り対策が不十分なまま天窓が設置されてしまうケースがあります。このような場合、施工から数か月~数年で雨漏りが起こるケースが多いため、早期に雨漏りが発生した場合は、すぐに施工店やハウスメーカーに連絡しましょう。施工保証により無償で修理してもらえる場合がほとんどです。
シーリング材やゴムパッキンの劣化
天窓からの雨漏りで最も多いのが、シーリング材やゴムパッキンの劣化による雨漏りです。天窓のガラスは窓枠にはまっていますが、ガラスと窓枠の隙間をシーリング材やゴムパッキンで埋めて雨水が内部に侵入しないようになっています。施工から年月が経過し、太陽光や雨水によりシーリング材やゴムパッキンが劣化すると、肉痩せやひび割れが起こりわずかな隙間ができることで雨水が室内に侵入してしまいます。シーリング材やゴムパッキンは10年ほどで劣化してしまうため、施工から10年程度経過している場合はメンテナンス時期と考えて良いでしょう。
落ち葉などの堆積物によるオーバーフロー
天窓周りはわずかな隙間があり、雨水がスムーズに軒先まで流れるように工夫されています。このわずかな隙間に落ち葉などが堆積すると、雨水の流れをせき止めてしまうため、溢れ(オーバーフロー)た雨水が屋根の内部や室内へ侵入する可能性があります。屋根材の下には防水シートが敷いてあるため、すぐに室内への雨漏りが始まるわけではないですが、防水シートを劣化させる原因になるため注意が必要です。
天窓ガラスの割れ
住宅の高い場所にある天窓のガラスは衝撃に強い造りになっていますが、台風や強風により飛ばされた飛来物によって割れる事があります。ガラスが割れればもちろん雨漏りしてしまうため、早急に業者へ連絡して処置してもらうようにしましょう。
窓枠の腐食
天窓の窓枠内部は木材でできているため、結露の水分や経年劣化により窓枠自体が腐食してしまう場合があります。窓枠の腐食は窓枠自体を歪ませ隙間を作ってしまうため、雨漏りの原因になります。
水切りエプロンや防水シートの劣化
天窓の周りには、雨漏りを防ぐためにさまざまな排水対策がされています。水切り板金や天窓下部に設置される鉛製の水切りエプロン、防水シートもその一部です。これらが劣化した場合も雨漏りの原因になります。とくに天窓の周りは雨水による影響を受けやすいため、防水シートが劣化しやすい環境です。
天窓のメンテナンス方法
天窓のメンテナンス方法は以下の通りです。
✅シーリングの打ち直し
✅落ち葉などの堆積物の除去
✅水切りエプロンや防水シートの交換
✅天窓の交換
シーリングの打ち直し
シーリング材やゴムパッキンは、天窓のガラスと窓枠の間に生まれる隙間を埋めて雨水の侵入を防いでいます。10年ほど経過し、亀裂や肉やせが生じている場合にはシーリング材の打ち直しが必要です。シーリング材の打ち直しは、屋根に上り外側から天窓のガラスと窓枠の隙間にシーリング材を充填します。
落ち葉などの堆積物の除去
住宅周辺に高い樹木があったり、緑が多い環境では屋根に落ち葉が溜まりやすくなるため定期的な点検が必要です。天窓の隙間に溜まった落ち葉や堆積物は、屋根に上らなければ確認できない場合が多くあります。落ち葉の確認や除去は高所作業で危険を伴うため、「落ち葉を取り除くだけだから」と軽く考えず、専門業者に依頼するのが安心です。
水切りエプロンや防水シートの交換
雨漏りが起こり、点検の結果水切りエプロンや防水シートの傷みが進んでいた場合には、補修・交換が必要です。補修・交換には天窓の周りの屋根材を一度剥がし、傷んでいる水切りエプロンや防水シートを新しいものに交換します。防水シートの下にある屋根の下地材(野地板)にも水濡れによるダメージがある場合は補修や交換が必要になる場合もあります。
天窓の交換
天窓の窓枠内部の木が腐食している場合は、雨水を侵入させる歪みや隙間を作ってしまうため、天窓そのものを交換する必要があります。また、天窓のガラスが割れた場合には、メーカーや製品によっては交換用のガラスユニットが用意されている製品もあるため、施工業者に確認してみましょう。ガラスのみの交換ができない場合は、天窓そのものを交換しなければなりません。
天窓の交換は、周囲の屋根材を一度剥がさなければならないため、比較的大掛かりな作業になります。そのため、屋根のリフォーム時期が近いようであれば、天窓の交換と一緒に作業を行うことで無駄がなく、余計な経費を抑えることにも繋がります。
思い切って天窓を撤去してしまうのも一つの方法
採光や開放感を求めて設置される天窓ですが、天窓に雨漏りの心配はつきものです。天窓からの雨漏りに悩まされたくない場合は、思い切って天窓を撤去してしまうのも一つの方法です。撤去は天窓を取り外し、空いた穴は野地板などの木の板で塞ぎます。また、天窓を残したまま、板金を被せて塞いでしまう方法もあります。
撤去にあまり費用を掛けたくない場合は、一時的に板金で蓋をして屋根のリフォームの際に天窓を撤去し、空いた穴を塞いでもらうのも良いでしょう。天窓を撤去する際は、その分住宅内が暗くなることを考慮しておかなければなりません。
まとめ
この記事では、天窓のメンテナンス方法や雨漏りのリスクについて解説しました。天窓の設置は多くのメリットがありますが、冷暖房が効きにくい・雨音が気になるといったデメリットもあります。また、雨漏りのリスクを抱えることにもなります。
近年では、限られたメーカーのみが製造・販売を行うようになり、その分天窓の性能が向上しているため、ひと昔前の天窓から新しい天窓に交換するだけで快適性が大幅に向上するケースもあります。
繰り返しになりますが、天窓の点検やメンテナンスは高所での危険な作業になるため、ご自身では行わずに専門業者に依頼するのが安全です。
株式会社ハジメは、屋根修理を中心に雨樋修理から屋根のリフォームまで幅広く手掛ける
職人直営の屋根修理専門店です。雨の多い梅雨時期はとくに雨漏り修理の依頼が増える時期です。屋根のメンテナンスをしばらく行っていない住宅は、早めに屋根の点検やメンテナンスがおすすめです。
もちろん、天窓に関する悩みや疑問、天窓の設置を検討中の方や天窓の雨漏りに悩まされている方の相談も大歓迎です。千葉県を中心に近県にも対応しておりますので、お気軽に株式会社ハジメにご連絡ください。