屋根カバー工法とは?工程やメリット・デメリットについて解説
2024/01/23
古くなった屋根を修理、リフォームする場合は屋根カバー工法や屋根葺き替え、屋根塗装といったメンテナンス方法があります。
この記事では、屋根カバー工法に焦点を当ててご紹介します。
屋根修理やリフォームでお悩みの方、屋根カバー工法の工程やメリット・デメリットを知りたい方はぜひ参考にしてください。
屋根カバー工法とは?
屋根カバー工法とは傷んだ屋根を修繕する方法の一つで、既存の屋根の上から新しい屋根材をかぶせるように重ねて施工する工法です。
一方、傷んだ屋根を一度すべて剥がし、新しい屋根材に交換する施工方法を「葺き替え」と言います。
「屋根カバー工法」は「葺き替え」に比べ工程が少ないため、工事期間が短くコストを抑えられるなどのメリットがありますが、もちろんデメリットもあります。メリット・デメリットについては後ほど解説します。
屋根カバー工法の施工手順
屋根カバー工法の施工手順は次の通りです。
1. 住宅まわりに足場を組む
2. 既存の屋根の棟板金・貫板・雪止め金具を撤去する
3. 既存の屋根の上にルーフィング材(防水シート)を敷く
4. ルーフィング材(防水シート)の上に新しい屋根材を張る
5. 棟板金・貫板・雪止め金具を設置する
6. 棟板金の隙間にコーキング処理をする
7. 組んだ足場を撤去する
住宅まわりに足場を組む
まず初めに住宅まわりに足場を組みます。近年は足場にメッシュのシートを張って材料やゴミの飛散防止に務める場合も多くあります。
既存の屋根の棟板金・貫板・雪止め金具を撤去する
棟板金とは屋根の頂点にある板金のことで、雨水などの侵入を防ぐ役割があります。
棟板金の下には貫板と呼ばれる木の板(樹脂製のものもあり)があり、棟板金を釘などで留めています。
雪止め金具は降雪地域によく見られるもので、屋根にたまった雪が落ちてこないようにする金具です。
これらを撤去し、屋根の凹凸を無くしてルーフィング材を敷きやすくします。
既存の屋根の上にルーフィング材(防水シート)を敷く
既存の屋根の上にルーフィング材を敷きます。ルーフィング材は屋根材の隙間から侵入する雨水を防いでくれるため、下地の保護に欠かせないものです。屋根の防水性能を左右する大切な工程です。
ルーフィング材の上に新しい屋根材を張る
ルーフィング材の上に新しい屋根材を張っていきます。雨水が流れても下地に侵入しにくいよう、軒先から順に被せるようにビスや釘で屋根材を張り付けます。
貫板・棟板金・雪止め金具を設置する
新しい屋根材を張り付けたら、撤去した貫板・棟板金・雪止め金具を設置して屋根同士を繋ぎ合わせます。
棟板金の隙間にコーキング処理をする
棟板金の隙間から雨水が侵入しないように、コーキング材で隙間を処理します。
組んだ足場を撤去する
組んだ足場を撤去して完成です。
屋根カバー工法のメリット
屋根カバー工法のメリットとして次の3つが挙げられます。
- ・工事費用を抑えられる
- ・工事期間が短く済む
- ・断熱性・防音性・耐水性が高まる
工事費用を抑えられる
屋根カバー工法は既存の屋根に新しい屋根材を被せて行うため古い屋根材を撤去・処分する必要がなく、その分工事費用を抑えられます。
また、葺き替えをして古い屋根材の撤去が必要な場合、2004年以前に建てられた住宅では撤去費が割高になることがあります。2004年以前に建てられた住宅の屋根材にはアスベストを含むものがあるため、アスベストを含まない屋根材にくらべて必要となる工程が増えることから撤去・処分にかかる費用が割高になります。
工事期間が短く済む
先に述べたように、屋根カバー工法は屋根の解体や撤去・処分の必要がなく少ない工程で施工ができるため、工事期間を短く済ませることができます。
設置された足場に圧迫感を感じたり、工事の音や人の出入りがストレスに感じる場合も。工事期間が短く済むことは屋根カバー工法の立派なメリットの一つと言えます。
断熱性・防音性・耐水性が高まる
断熱性・防音性・耐水性が高まることも屋根カバー工法のメリットです。既存の屋根の上から新しい屋根を被せるように施工するため二重構造になり、屋根部分では外からの暑さや寒さが住宅内に伝わりにくくなります。
そのため住宅内の保温効果が期待でき、冷暖房費などの電気代を節約できる可能性があります。
またこの二重構造は、雨や霰などが屋根に当たる音を軽減する効果もあります。
さらに屋根の耐水性を高めて雨水の侵入を防ぐ効果もあります。これは、新しい屋根材を被せる前にルーフィング材(防水シート)を既存の屋根の上に敷くことによるもので、ルーフィング材を含めた屋根の二重構造が防水効果をより高めることにつながります。
屋根カバー工法のデメリット
先ほどメリットの項目で解説した屋根の二重構造化ですが、メリットだけでなくやはりデメリットもあります。屋根カバー工法のデメリットとしては以下の3つが挙げられます。
- ・屋根が重くなり耐震性が低下する
- ・施工できる屋根のタイプが限られる
- ・施工時に屋根内部の点検ができない
屋根が重くなり耐震性が低下する
屋根を二重構造化することによる最大のデメリットは、耐震性が低下することです。
一般的に住宅などの建造物は、屋根などの高い所に重量物がある建物ほど耐震性では不利になります。近年新築住宅に瓦屋根が採用されにくくなったのは、コスト面以外の理由では金属屋根よりも重量のある瓦を使うことによって、屋根が重くなることを避けたいといった理由が多くあります。
屋根の二重構造化は屋根の重量を重くするため耐震性は低くなってしまいます。
使用できる屋根材が限られる
耐震性に影響するためカバー工法では、ガルバリウム鋼板などの軽い屋根材が使われるのが一般的で、重量のある屋根材は使用できません。屋根材にこだわりがあり、どうしても自身の選んだ屋根材を使いたい場合は、カバー工法ではなく葺き替えをおすすめします。
施工時に屋根内部の点検ができない
カバー工法は施工時に、屋根の下地である野地板の状態を確認できないといったデメリットもあります。
野地板は屋根材を支える重要なものですが、屋根材を剥がしルーフィング材を剥がさなければ状態を確認できません。もし屋根からの雨漏りが発生していた場合は、下地である野地板の状態を確認し何らかの処置をする必要があるため、必然的にカバー工法ではなく葺き替え工事をすることになります。
カバー工法では雨漏りの根本的な解決はできません。屋根や住宅の状態によって、カバー工法・葺き替えのどちらが適しているかは変化することを知っておきましょう。
まとめ
屋根カバー工法は、費用を抑えられ工事期間が短いなどのメリットがありますが、重量増による耐震性の低下や、使用できる屋根材に限りがあるなどのデメリットもあります。
カバー工法が適さない屋根の状態もあるので注意が必要です。
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株式会社ハジメでおこなったカバー工法の施工実績