屋根のルーフィング(防水シート)の役割とは?
2024/01/23
ルーフィングはどのような住宅にもなくてはならない縁の下の力持ちで、普段私たちの目の届かない所である大切な役割を担っています。
この記事ではルーフィングに焦点を当ててご紹介します。
新築や屋根の修理を検討している方、ルーフィングを知らないけれどどんな役割があるのか気になる方はぜひ参考にしてください。
ルーフィングとは?
ルーフィングは屋根を構成する建築資材の一つで、屋根材(外から見えるいわゆる屋根のこと)の下に敷く防水シートです。
屋根が完成してしまえば外から見ることはできなくなってしまうため、新築時や葺き替え時でなければ我々が目にする機会はほとんどありません。
ルーフィングの役割
ルーフィングの役割は屋根材の隙間から侵入した雨水を受け止め、下地材である野地板を濡らすことなく軒先まで排出することです。
ルーフィングの重要性
屋根に降った雨は一見屋根材の表面だけを流れて軒先まで落ちているように見えますが、強い風などで屋根材の隙間から屋根材の下へと雨水が侵入することがあります。
ルーフィングという防水シートがなければ、侵入した雨水は下地材である野地板を濡らし腐らせやがて屋根裏などの屋内へ雨漏りとして現れてしまいます。
屋根の防水は屋根材を一次防水、ルーフィング(防水シート)を二次防水とした二段構えになっています。屋根の防水はそれだけ住宅にとって重要なものだということがわかります。
原因の特定が難しい雨漏り
一度雨漏りが起こってしまうと、プロでも原因を突き止めるのが難しい場合があります。雨水が侵入しているということは二次防水から侵入したということになるため、本来であればルーフィングを点検したいところです。ですが、一次防水である屋根材で覆われているため、外から二次防水であるルーフィングを点検することはできません。
さらに、雨漏りは屋根だけでなく壁やサッシから雨水が侵入することも多いため、雨漏りの原因を明らかにすることは容易ではありません。
ルーフィングの種類
ルーフィングの種類は次の通りです。
– アスファルトルーフィング
– 改質アスファルトルーフィング
– 粘着アスファルトルーフィング
– 遮熱ルーフィング
– 透湿ルーフィング
アスファルトルーフィング
アスファルトルーフィングはもっとも基本的なルーフィングです。普及率が高く安価ですが基材が紙であるため破れやすく、現在では公共施設などの大型建築で使用されます。
名前のとおり道路と同じ成分であるアスファルトをフェルト状のシートに吸着させて造られます。耐用年数は10年ほどです。
改質アスファルトルーフィング
アスファルトルーフィングにゴムやポリマー、合成樹脂を加え耐久性をアップさせたものが改質アスファルトルーフィングです。さらに基材を紙から合成繊維不織布へ変更し破れにくさが向上。耐用年数は20年以上にアップしました。
別名「ゴムアスファルトルーフィング」や「ゴムアス」とも呼ばれており、伸び・曲げに強いため木造住宅のルーフィングに最適です。現在の新築やリフォームで多く採用されています。
粘着アスファルトルーフィング
ルーフィングの貼り付け面が粘着テープになっているルーフィングシートの総称です。従来のルーフィングシートは野地板にタッカーと呼ばれる工具(大きいホッチキスのような工具)でステープルと呼ばれる針(大きいホッチキスの針のようなもの)を打ち付けて張り付けて留めています。
ですが、この従来の工法ではルーフィングに小さな穴が空いてしまうとともに、打ち込んだステープル自体がサビやすいといった問題点がありました。ルーフィングを粘着テープで貼付けできればこういった問題が一気に解消されます。
しかし、残念なことに粘着アスファルトルーフィングは高価なため現在は、雨水の流れにくい傾斜の緩い屋根のルーフィングとして採用されるにとどまっています。
生産技術が発達して粘着アスファルトルーフィングの価格が下がることがあれば、さまざまなタイプの屋根に採用される日が来るかもしれません。
遮熱ルーフィング
遮熱ルーフィングは、ルーフィングの表面にアルミの反射層を取り付けたものです。日射により熱くなった屋根材の輻射熱を反射することで屋地板の温度上昇を抑制できます。そのため効率的な冷暖房の運用ができ、省エネ効果が期待できます。
屋根とルーフィングの間に空間のできる屋根材を採用しないと、望んだ効果が期待できないため注意が必要です。
透湿ルーフィング
透湿ルーフィングは、防水ながらも湿気を外に逃がす能力を持ったものです。建物内の湿気を外に逃がすことで住宅を長持ちさせます。
高気密高断熱の住宅やヨーロッパでは透湿ルーフィングが主流となっています。
日本では透湿ルーフィングはあまり採用されず、アスファルト素材のルーフィングが多く採用されています。日本で透湿ルーフィングが普及していない理由として初期コストが高いことや、屋根と野地板の間に空間が必要なため屋根材が限定されること、アスファルト系と違う施工技術が必要な事などが考えられます。
ルーフィングの施工手順
ルーフィングの施工手順は次の通りです。
ルーフィングシートを貼る
屋根の下側(軒先)から順に屋根の上側(棟先)に向かってルーフィングシートを貼っていく。この時20cmほど重ねて補強しながら貼ることで浸水防止になる。
反対に屋根の上側(棟先)から屋根の下側(軒先)に向かってルーフィングシートを貼ってしまうと、雨水の流れる方向とは逆に重ねて貼ることになるため浸水してしまう。
屋根の谷部や棟は雨が貯まりやすく傷みやすいため、ルーフィングシートを二重・三重にする。
タッカーで留める
タッカーを使い30cm間隔でルーフィングシートを留めていく。傾斜のある屋根に垂直にタッカーを打たなければならないため慣れが必要で、タッカーの打ち方次第でルーフィングシートが劣化してしまう事もある。太陽の熱で溶けたシートがタッカーで打った穴を溶かして塞いでくれる。
ルーフィングの注意点
新築や葺き替えでルーフィングを含む屋根の工事をする場合、天候に左右されることを覚えておきましょう。ルーフィングシートを敷く前段階は野地板がむき出しの状態なため、この状態で雨に降られてしまうと野地板が傷んでしまいます。「ルーフィングの前段階には晴れ日が必要だ」という事を覚えておきましょう。
先に述べたようにルーフィングは種類が豊富で、適切な屋根材と組み合わせなければ本来の能力を発揮できないものもあるため注意が必要です。
まとめ
ルーフィングはどのような住宅にもなくてはならない守り神のような存在です。屋根材で防ぎきれなかった雨水を屋内に入れることなく軒先へと流す役割がありますが、ルーフィングが劣化することで雨漏りが起きる可能性もあります。
ルーフィングは種類が豊富にあるため、屋根材との相性を考えながら気に入った特性のルーフィングを採用するのも良いでしょう。
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