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屋根の豆知識

瓦屋根の劣化症状とメンテナンス方法について解説

2024/03/27

住宅の屋根には、スレートや金属などのさまざまな材質の屋根材があります。そのなかでも瓦屋根は、古くから日本家屋に用いられてきた歴史ある屋根材です。

この記事では、瓦屋根の概要や種類、劣化症状やメンテナンス方法などを解説します。これから新築予定の方や屋根の修理・リフォームを検討中の方、瓦屋根に興味がある方は是非参考にしてください。

瓦屋根の概要

瓦屋根は古くから日本の建築物に多く使用されてきた伝統的とも言える屋根材です。近年では高性能なさまざまな屋根材が登場し、新築時に瓦屋根が選ばれることは少なくなりました。

ですが「伝統的で落ち着きのある雰囲気にしたい」などの理由から瓦屋根が選ばれることも珍しくなく、耐久性やメンテナンス性、断熱性や遮音性など現代の屋根材に劣らない性能を持つ一面もあります。

瓦屋根の種類

瓦屋根と一口に言っても、瓦には実に多くの種類があります。現在屋根材としてもっとも普及している屋根材の一つとして、セメントを原料にした薄い板状の屋根材である「スレート屋根(カラーベスト・コロニアル)」がありますが、厳密に言うと「スレート瓦」と呼ばれる「瓦」の一種でもあります。また、海外の住宅に用いられる丸みを帯びたカラフルな洋瓦などもあります。

ここでは一般的な瓦屋根である3種類の瓦を解説します。

・粘土瓦
・セメント瓦
・モニエル瓦(乾式コンクリート瓦)

粘土瓦

「瓦」と聞いて多くの人が一番最初に思い浮かべるのがこの粘土瓦でしょう。粘土瓦はいわゆる昔ながらの日本家屋に多く用いられてきたスタンダードな瓦で、粘土を瓦の形に成型し、窯で焼いて作ります。陶芸で器などを造る際、原料の粘土をろくろや手で成型し窯で焼いて仕上げますが、粘土瓦はまさにそのようなイメージで作られています。粘土瓦は製法の違いにより「いぶし瓦」と「釉薬瓦」に分けられます。

いぶし瓦

いぶし瓦は、瓦を焼き上げる最終工程で燻す作業があります。「いぶし銀」という言葉の語源になったように、燻された瓦は表面に炭素の膜を形成し、銀色・灰色の美しい深みのある色に焼き上がります。

また、燻された瓦は粘土素地に炭素が浸透するため、芯まで銀色・灰色になります。いぶし瓦は経年によって、表面の炭素膜が剥がれ色ムラが起こりますが、いぶし瓦が持つ耐久性能などに変わりはありません。

むしろこの色ムラが、古くなるほど趣が出る日本家屋に合うとされ肯定的に捉えられる傾向にあります。

釉薬(ゆうやく・うわぐすり)瓦

釉薬瓦は、釉薬を塗り焼き上げることで表面にガラス質の膜を形成した瓦です。茶碗など陶器のようなイメージに近く、釉薬の種類によってさまざまな色に着色できます。

釉薬は表面にのみ塗布されるため、瓦の裏面や内部は粘土素地の色のままです。表面に形成されたガラス膜はめったな事では剥がれず水分をはじくため、いぶし瓦と同じく高い防水性能があります。耐久性もいぶし瓦とほぼ変わらないため、見た目の好みで釉薬瓦が選ばれるケースも多くあります。

セメント瓦

セメント瓦は、その名の通りセメントを主原料にした瓦です。いわゆるカラーベスト・コロニアルなどのスレート屋根も薄型セメント瓦と呼ばれますが、ここでは厚みのある波型のセメント瓦を解説します。セメント瓦は製造しやすく安価であるといった理由から一時期流行した瓦です。

塗料によって表面に塗膜を形成することで、水分をはじき防水性能を維持します。かつてのセメント瓦には耐久性を確保するため、繊維素材にアスベストが用いられていました。定期的に塗装によるメンテナンスが必要で、重いといった理由から現在では一部の商品を除き製造・販売されていません。

モニエル瓦(乾式コンクリート瓦)

モニエル瓦は、セメントを原料に川砂などの砂利を混ぜた瓦で、乾式コンクリート瓦とも呼ばれます。スラリー層と呼ばれる1mm厚の着色層があることが特徴で、この上にアクリル塗装を施すことで防水性能を発揮します。モニエル瓦は製造工程でアスベストを使用せず、粘土瓦のように焼き上げる必要もないため二酸化炭素の排出を抑えることができ、環境に優しい屋根材と言われていました。

しかしメンテナンスが難しいため、現在では製造・販売されていません。

粘土瓦屋根の劣化症状とメンテナンス方法

粘土瓦は耐久性が極めて高く、耐用年数は50年以上と言われています。瓦自体は長寿命で塗装の必要もありませんがその他の屋根に関連する箇所にはメンテナンスが必要です。粘土瓦屋根の劣化症状とメンテナンス方法は次の通りです。

・漆喰の劣化
・瓦の割れ・ズレ
・防水シートの劣化

漆喰の劣化

漆喰は、屋根の頂上部の棟瓦と屋根瓦の半月状の隙間を埋めるものです。隙間を埋めることで風雨の侵入を防ぎ瓦を固定しています。雨や紫外線などにより劣化し割れたりボロボロと剥がれてしまうため、漆喰の詰め直しが必要です。漆喰は20年ほどで寿命を迎えるため、新築から年月が経過しているようであれば点検してもらうことをおすすめします。

瓦の割れ・ズレ

粘土瓦は頑丈ですが、飛来物やテレビアンテナの倒壊などの強い衝撃により割れることがあり、地震や強風でズレてしまうこともあります。瓦の下には防水シートが敷かれているためすぐに雨漏りが起こるわけではありませんが、放置すれば防水シートを劣化させる原因になってしまいます。ずれた瓦は元の位置に直し、割れた瓦は交換する必要があります。防災瓦など釘やビスで固定されているものもあります。

防水シートの劣化

前述の通り瓦の下には防水シートが敷かれていて、屋根裏への浸水を防ぐ構造になっています。ですが防水シートは粘土瓦ほどの寿命はなく、およそ20年ほどとされています。防水シートを敷き直すには、屋根瓦を一度全て取り外してから行われます。漆喰のメンテナンス時期とも重なるため同時にメンテナンスをお願いするのも良いでしょう。

セメント瓦・モニエル瓦の劣化症状

千葉市緑区にて雨漏り修理 葺き替え工事 施工前

粘土瓦と異なりセメント瓦・モニエル瓦は、表面を塗装膜によって保護することで防水効果が保たれています。経年により塗装膜が剥がれてしまったセメント瓦・モニエル瓦は、水分を吸収してしまうため劣化が早まり強度が低下してしまいます。セメント瓦・モニエル瓦の劣化症状は次の通りです。

・漆喰の劣化
・苔や藻の繁殖
・瓦のひび・割れ

漆喰の劣化

粘土瓦と同じように、セメント瓦・モニエル瓦にも漆喰が使用されています。劣化が進んでいるようであれば漆喰の詰め直しが必要です。

苔や藻の繁殖

塗膜が剥がれ、表面がザラザラしてくると苔や藻が繁殖することがあります。とくに屋根の北面など太陽光が当たりにくい箇所に発生しやすい傾向にあります。この症状が出てきたら塗装メンテナンスの時期と考えて良いでしょう。

瓦のひび・割れ

セメント瓦・モニエル瓦は経年によりひびや割れが起こります。塗膜の剥がれにより水分を吸収し膨張、乾燥し収縮を繰り返すことで強度が低下し、軽い力で割れてしまうようになります。現在では製造・販売が終了している可能性が高いため、瓦一枚の交換ができず屋根の葺き替えが必要になるケースもあります。

セメント瓦・モニエル瓦のメンテナンス方法

セメント瓦・モニエル瓦のメンテナンス方法は、塗装によるメンテナンスと葺き替えによるメンテナンスがあります。

塗装によるメンテナンス

セメント瓦・モニエル瓦は、セメントが原料であるため、塗膜による保護層が剥がれると水分を吸収します。水分を吸収し始めると瓦の劣化が早く進行してしまうため10年間隔の塗装によるメンテナンスが必要です

特にモニエル瓦は、表面にあるスラリー層を完全に落さずに再塗装をしてしまうと、古いスラリー層と一緒に新しい塗膜が剥がれてしまうため注意が必要です。モニエル瓦には専用のスラリー塗料があります。

屋根の葺き替え工事

セメント瓦・モニエル瓦は劣化が進むと強度が低下し、塗装メンテナンスでは性能を保てないケースもあります。劣化が激しい場合や新築から30年ほど経過している場合、屋根の葺き替えをおすすめします。セメント瓦は一部販売している商品がありますが、モニエル瓦は販売が終了しているため、異なる屋根材による葺き替え工事をすることになります。

まとめ

株式会社ハジメ

この記事では、瓦屋根の概要や種類、劣化症状やメンテナンス方法などを解説しました。瓦屋根には粘土瓦・セメント瓦・モニエル瓦があり、粘土瓦はさらにいぶし瓦と釉薬瓦に分かれます。粘土瓦は塗装によるメンテナンスを必要とせず、高い耐久性があります。

セメント瓦・モニエル瓦は、苔や藻の発生や瓦のひびなどが起こるため、塗装による定期的なメンテナンスが必要で、塗装を怠ると水分を吸収し劣化が早まります。劣化し強度が低下したセメント瓦は、葺き替え工事によるメンテナンスがおすすめですが、モニエル瓦は生産していないため注意が必要です。

屋根修理・雨樋修理は株式会社ハジメにお任せください。千葉県を中心に東京・埼玉・神奈川県など、幅広い地域に駆け付けます。

必要な工事だけを提案し、正直に経験豊富な職人が対応いたします。屋根のリフォームや葺き替え工事、瓦屋根の修理・メンテナンスの相談など、どんな些細な事でもご連絡ください。株式会社ハジメが誠実に対応いたします。

株式会社ハジメでおこなった瓦屋根の施工実績

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