ディプロマットスターとはどんな屋根材？特徴や注意点を解説
2024/03/01
ディプロマットスターとはどんな屋根材なのか、ご存知の方はどれほどいらっしゃるでしょうか？
じつは、ディプロマットスターは、日本ではまだあまり有名ではない屋根材です。
ですが、その性能は優秀そのもので世界中では70カ国以上で採用されている屋根材です。この記事では、ディプロマットスターの特徴やメリット、注意点などを解説します。
これから新築を建てる予定のある方や、屋根の修理を検討している方はぜひ参考にしてください。
ディプロマットスターとは
ディプロマットスターは、1971年にアメリカで開発された自然石粒化粧鋼板屋根材です。アメリカや韓国の工場で製造されており、株式会社ディートレーディングがディーズルーフィングブランドとして販売しています。
建築物を選ぶことなく調和するシンプルなデザインを持つ輸入屋根材で、欧米ではStone Coated Steel Roofing(自然石粒化粧鋼板屋根材)として40年以上の実績があり、寒冷地域、熱帯地域問わず世界70カ国以上で採用されています。
「ディプロマットスター」は、ディーズルーフィングの中のデザインの一つで、他にも、S字瓦調の「ローマン」や、伝統的なデザインで30年以上のロングセラーを誇る「クラシックタイル」、表面に凹凸をもった直線的でシンプルな「エコグラーニ」などがあります。
ディプロマットスターをはじめとした自然石粒化粧鋼板屋根材は、石粒付金属屋根材とも呼ばれており、ガルバリウム鋼板やジンカリウム鋼板の表面に、天然石などの石粒をコーティングした屋根材です。
石粒付金属屋根材は極めて高い耐久性を持ち、それに伴う長期保証も魅力の一つです。ディプロマットスター以外では、リクシルが販売するT・ルーフなどがあります。
ディプロマットスターの特徴
ディプロマットスターの特徴は2つあります。なお、メリットについては次の項目で解説します。
外壁としても使用できる
ディプロマットスターはそのシンプルなデザインから、外壁材としても使用できます。耐久性や遮熱性に優れ、汎用性も持ち合わせた屋根材です。
基材の鋼板にジンカリウム鋼板を使用
ディプロマットスターの基材にはジンカリウム鋼板が使用されており、ジンカリウム鋼板はガルバリウム鋼板(アルミニウム55%、亜鉛43.4%シリコン1.6%)とほぼ同じ組成を持つ鋼板で、ガルバリウム鋼板と同等の性能を持ち、亜鉛鉄板(トタン板)とくらべて3～6倍の耐久性を持ちます。
ディプロマットスターのメリット
ディプロマットスターのメリットは次の通りです。
- ・軽量なため耐震性能が高い
- ・耐久性が極めて高く保証期間が長い
- ・遮熱性・遮音性が高い
- ・台風などの強風に強い
- ・屋根リフォームに対応
軽量なため耐震性能が高い
地震による住宅の揺れは、屋根の重量が重ければ重いほど大きくなると言われており、反対に屋根が軽ければ、住宅の重心が下がるため揺れにくくなると言われています。
ディプロマットスターは1㎡あたりの重量が6kgと、金属屋根に次いで軽量で、平板スレート屋根の約1/3、瓦屋根の約1/8の軽さです。このため屋根の重量を軽くでき、耐震性が高くなります。
耐久性が極めて高く保証期間が長い
前述しましたが、ディプロマットスターは表面に自然石粒のコーティング、基材には、ガルバリウム鋼板と同程度の耐久性を持つジンカリウム鋼板が使用されています。
このジンカリウム鋼板をベースに、耐食化成被膜層・石粒を鋼板に接着するベースコート・自然石粒・トップコートと、多重構造の塗装やコーティングが施されているため、極めて高い耐久性があります。そのため、製品保証期間が長く、次のような保証内容に対応します。
- ・基材鋼板の錆びによる雨漏り
- ・基材石粒の極端な剥離
- ・基材石粒の極端な褪色
これらの内容には30年間の製品保証期間があります。メンテナンスについては、施工後30年からは5年に一度の点検期間、施工後50年からは2〜3年に一度の点検期間、施工後60年からは葺き替え予想期間となっています。
遮熱性・遮音性が高い
ディプロマットスターは表面に石粒がコーティングされているため、屋根下地材との間に十分な空気層を確保できます。そのため日射などの外から加わる熱が、屋根下地材まで伝わりにくくなり遮熱効果が高くなります。
また、表面石粒の凹凸によって雨粒を拡散できるため、平坦な表面に比べ雨粒が小さくなります。そのため、金属屋根特有の雨粒の当たった際の微振動による高周波の音も、表面の自然石層により抑える事ができます。
遮熱性・遮音性ともに、金属屋根材の持つ弱点を表面の自然石層によって打ち消すような構造になっています。
台風などの強風に強い
ディプロマットスター屋根は、インターロッキング工法(屋根材同士をかぶせて互いをビスで固定する工法)によって屋根に固定されます。
そのため屋根材全面が一体化したような状態になり、強い風が吹いても一枚一枚がめくれ上がらないようになるため、60m/sの暴風にも耐えられる性能があります。
屋根リフォームに対応
屋根の葺き替え工事やカバー工法にもディプロマットスターを使用できます。
葺き替工事は既存の屋根材を剥がし新しい屋根材を張る方法で、屋根周りをほとんど新品のようにできることや、下地材の傷み具合を確認できるメリットがありますが、施工期間が長く、カバー工法に比べて費用が高額になります。
カバー工法は既存の屋根の上から新しい屋根材を被せるように施工する方法で、葺き替えよりも手順が少ないため施工期間が短く済み、費用も葺き替えほどかかりません。ただし、下地材の状態を確認できないため、下地が傷んでいることが明白な場合はおすすめできません。
ディプロマットスターは軽量なため、どちらの工法でも対応できます。しかし、取り扱っていない業者もあるため注意が必要です。
ディプロマットスターの注意点
ディプロマットスターの注意点は次の通りです。
- ・日本ではまだ知名度が低い
- ・施工にはある程度の勾配が必要
- ・カラーバリエーションが少ない
日本ではまだ知名度が低い
ディプロマットスターは、世界中で使用されている優秀な性能を持つ屋根材ですが、輸入屋根材なため日本ではまだ知名度が低く、ハウスメーカーや施工業者が採用していないケースが多くあります。
そのためディプロマットスターによる葺き替え工事やカバー工法を希望しても施工できない可能性が高いのが現状です。
もし、ディプロマットスターによる葺き替え工事やカバー工法を希望するのであれば、施工できる業者を早いうちから探しておく必要があります。
ディプロマットスターは、現在主流である金属屋根と比べても性能はまったく劣っていないため、今後徐々に取り扱う業者が増えるのではないかと予想しています。
施工にはある程度の勾配が必要
ディプロマットスターは、屋根に2.5寸以上の勾配がなければ施工できません。広い屋根を持つ坪数の大きい住宅では勾配が緩く、施工できない可能性があるため事前に確認しておく必要があります。
カラーバリエーションが少ない
ディプロマットスターのカラーバリエーションは次の4つです。
- ・テラコッタ
- ・カフェ
- ・エバーグリーン
- ・オニキス
スレート素材の屋根材であるケイミューのコロニアルクァッドは、12種類のカラーバリエーションがあり、エスジーエル素材の屋根材であるアイジー工業のスーパーガルテクトは6種類のカラーバリエーションがあります。
ディプロマットスターと同じく鋼板の表面を石粒でコーティングした、リクシルのT・ルーフも選べる基本カラーが3つしかないため、石粒といった表面材質の構造上、多くのカラーバリエーションは期待できないようです。
まとめ
この記事では、ディプロマットスターの特徴やメリット、注意点などを解説しました。
ディプロマットスターはアメリカで開発された自然石粒化粧鋼板屋根材で、日本ではまだマイナーですが世界中で使用されている屋根材です。屋根材ですが外壁材としても使用でき、耐久性が高く長期保証にも対応、表面の自然石層は遮熱や遮音効果があります。
まだ扱っている業者は少ないですが、今回解説したようなさまざまな優秀な機能を持つ屋根材ですから、これから徐々に普及していくのではないでしょうか。
株式会社ハジメは、千葉県千葉市の屋根修理専門店です。千葉県千葉市を中心に、東京・埼玉・神奈川にも対応しております。
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屋根は住宅で一番傷みやすい場所の一つですが、なかなかチェックできる場所ではありません。
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