雨樋にも雨漏りの危険性?原因とメンテナンス方法について
2024/07/03
屋根に降った雨水を集める雨樋は、どのお宅にも設置されている重要な部材です。ですが、雨樋の不具合が雨漏りを引き起こす原因になることはあまり知られていません。雨樋の不具合を放置することで住宅全体の寿命を縮めてしまう可能性もあります。
この記事では、雨樋が雨漏りを引き起こす原因や雨樋に起こりやすい不具合、メンテナンス方法を詳しく解説します。雨樋が雨漏りの原因になる理由を知りたい方、雨樋に歪みや割れなどの不具合を抱えている方はぜひ参考にしてください。
雨樋の役割
屋根の軒先に取り付けられた雨樋は、屋根に降った雨水を集め下水や地上に排出する役割があります。雨樋がなければ、屋根に降った雨水は軒先や外壁を伝って下へ流れてしまうため、外壁を汚す原因になります。また、軒先に集まった雨粒が地面にまとまって落ちることで水溜りができたり、泥はねが起きて基礎部分を必要以上に汚してしまうことにもなります。
雨樋の不具合が雨漏りの原因になるメカニズム
雨樋に不具合が起こると雨漏りを引き起こす原因の一つになります。本来であれば屋根に落ちた雨水は、雨樋を通って下水や地面へと排出されますが、例えば落ち葉や砂埃などで雨樋が詰まってしまっていた場合、雨樋から雨水が溢れ出し本来であれば多くの雨水がかからない軒先の裏側である軒天や、雨樋の固定先である鼻隠しなど本来想定されていない箇所が水濡れすることになります。
さらに溢れだした雨水が外壁を伝うことで、窓枠や外壁のひび割れたシーリングや外壁の割れ、クラック(ひび)に雨水が入り込むことで雨漏りを引き起こす事に繋がるのです。シーリングのひび割れや外壁のひびなどは、雨樋の不具合がなくともいずれ雨漏りに発展していたかもしれません。ですが、余分な雨水による水濡れは劣化や腐食を早め、本来のメンテナンス時期よりも早いタイミングでのメンテナンスを強いられたり、住宅全体の寿命を縮めることにも繋がりかねません。雨樋の不具合と、それによって影響を受ける箇所の不具合が重なることで雨漏りに発展してしまうのです。
雨樋の構造と構成する部品材
雨樋の構造は、大きく分けて次の3つの部材で構成されています。
✅軒樋
✅集水器
✅縦樋
軒樋(のきどい)
軒樋は軒先に平行に取り付けられている雨樋です。屋根に落ちた雨水は屋根の高い所から低い所に流れ、まず軒先にある軒樋に落ちます。軒先に対して真っ直ぐ取り付けられているように見えますが、実は集水器に向かって若干傾斜が付けられています。
集水器
軒樋を流れた雨水は次に集水器と呼ばれる部材に集められます。集水器は下方向へ流れる雨水が一度集まる場所で、次に解説する縦樋へと雨水を流す役割があります。軒樋と縦樋をつないで連結している部材でもあります。
縦樋(たてどい)
屋根と垂直に取り付けられ、集水器に集まった雨水を軒先から下水や地上に送り流すのが縦樋です。
この他にも、屋根の形に合わせて水平に曲げている軒樋「曲がり」、軒樋の最端である「止まり」、異なる階の雨水を合流させる「寄せます」、垂直方向に曲がりのある「エルボ」などで構成されています。
雨漏りを引き起こす雨樋の不具合
雨漏りを引き起こす雨樋の不具合は次の通りです。
✅落ち葉や砂埃・ゴミなどによる雨樋の詰まり
✅ひびや割れなどの破損
✅ジョイント部の外れ
✅雨樋の歪みや傾斜の不足
落ち葉や砂埃・ゴミなどによる雨樋の詰まり
雨樋が落ち葉や砂埃・ゴミなどで詰まってしまった場合、雨水が適切に排水されず溢れ出してしまいます。雨樋が詰まりやすい原因として、住宅の周辺環境が大きく関係します。雑木林や背の高い樹木が近くにあれば落ち葉や小枝などが屋根に堆積しやすくなり、学校や公園などグラウンドのような広場が近ければ砂埃や風に舞った土が屋根に堆積しやすくなります。また野生の鳥が雨樋の中に巣を作ってしまい詰まることもあります。
雨樋の詰まりは下から確認するのが難しいため、他の場所に二次被害が出て初めて気が付く場合も多くなります。雨樋から溢れた雨水が直接地面に落ちることで地面の泥水が跳ね、住宅基礎や外壁を汚し日当たりの悪い北面では苔が繁殖する場合もあります。さらに住宅同士の距離によっては溢れた雨水が隣家の外壁にまで汚れや痛みを招いてしまう可能性もあります。
また、軒樋の固定先でもあり屋根下にある垂木の先端を隠している鼻隠しや、軒先の裏天井である軒天も雨水で濡らすことになってしまいます。鼻隠しは垂木の先端を水濡れによる腐食から防ぐ役割もあるため、鼻隠しが雨水により腐食してしまえば垂木や隣接する軒天にも雨水の影響が出ます。多量の水濡れを想定していない軒天が濡れてしまうと腐食やカビを発生させ、木製の軒天であれば歪みや剥がれを起こし、鳥やネズミなどの野生動物が侵入して天井材を傷めることに繋がってしまいます。砂埃や土が詰まった雨樋に苔が生え、繁殖してさらに雨水をせき止めるといった例もあります。
ひびや割れなどの破損
雨樋に使われる素材で最も一般的なのが塩化ビニール樹脂製の雨樋です。安価で軽量、施工性も高く錆びることが無いため広く普及していますが、太陽光による紫外線や熱を長期間受けることで経年劣化し脆くなるため、飛来物による軽い衝撃でもひびや割れを起こしやすくなります。
ジョイント部の外れ
台風や強風が吹いたあとに多いのが雨樋のジョイント部の外れです。ジョイント部が外れると集まった屋根の雨水が勢いよく本来とは異なる場所に落ちてしまうため注意が必要です。特に風の影響を受けやすく、外壁から浮いている軒下のような箇所で発生することが多いため、台風や強風が吹いた翌日には住宅の外観を一度チェックしてみると早期発見に繋がります。
雨樋の歪みや傾斜の不足
経年劣化や屋根に溜まった雪の影響で雨樋に歪みが起こる場合があります。雨樋には雨水がスムーズに流れるように傾斜が付けられていますが、歪みが起こることで本来の傾斜が崩れて雨水が流れづらくなり、歪んだ雨樋が外側に開いてしまえばその箇所から雨水が流れ落ちてしまう事になります。雨樋内で雨水が流れづらくなると、屋根に落ちた砂埃や土なども雨樋内に堆積しやすくなるため、結果として雨樋に詰まりが発生しやすくなり、雨水が溢れ出すことになるため雨漏りの原因に繋がってしまう可能性があります。
雨樋のメンテナンス方法
雨樋のメンテナンス方法は落ち葉などの堆積物の除去と雨樋の塗装があります。
落ち葉など堆積物の除去
雨樋に起こる不具合で最も多いのが落ち葉などによる詰まりです。定期的に落ち葉などを取り除くことで詰まりを予防できますが、高所にある雨樋をご自身で掃除するのは危険です。梯子などを間違った場所に掛けてしまうと雨樋を破損させたり歪ませてしまう可能性があり、水で流そうとした場合に落ち葉などの堆積物を縦樋へと押し込んでしまうこともあるため専門業者に依頼するのが安全で確実です。また、雨樋に落ち葉を貯めさせないようにするための「落ち葉防止ネット」を設置するのも効果的です。
雨樋の塗装
外壁塗装や屋根の塗装を依頼した際に雨樋の塗装をおすすめされる場合があります。繰り返しになりますが、塩化ビニール製の雨樋は太陽光からの紫外線や熱によって劣化するため、塗装による塗膜で表面をコーティングすることによって、劣化を遅らせ長持ちさせることができます。塗装では、すでに劣化が進行した雨樋の強度を上げることはできないため注意が必要です。
雨樋の耐用年数や改修時期
塩化ビニール製の雨樋の耐用年数は環境にもよりますが20年程度とされています。劣化が進んだ雨樋はひびが入りやすく少しの力が加わることで割れやすかったりします。割れが起こった際には雨樋を部分的に交換することも可能ですが、施工から耐用年数ほどの年月が経っていれば雨樋の全面改修を検討しても良いでしょう。
まとめ
この記事では、雨樋が雨漏りを引き起こす原因や雨樋に起こりやすい不具合、メンテナンス方法を詳しく解説しました。雨樋の不具合と、それによって影響を受ける箇所の不具合が重なることで雨漏りが起こります。雨樋の詰まりや歪みを見つけたら早めに適切な処置を行うことで二次被害を防ぐことができます。
株式会社ハジメは雨樋のメンテナンスから屋根の葺き替え・カバー工法も手掛ける屋根修理の職人直営店です。特に雨の多い梅雨時期は雨樋のトラブルや雨漏り修理の依頼が増えます。
住宅のトラブルの多くは、長い期間メンテナンスされていない場合に起こる可能性が高いため、定期的なメンテナンスを行うことで急なトラブルに悩まされる事が少なくなります。メンテナンスや雨樋修理の相談も株式会社ハジメにご連絡ください。連絡をお待ちしております。