ポリカーボネートとは?屋根に使用する際のメリット・デメリットについて解説
2024/08/26
住宅街を歩いていると、カーポートの屋根などに透明な板が使われているのを見かけることがあります。カーポートの屋根の多くは、実はガラスではなく、ポリカーボネートと呼ばれるプラスチック製の屋根であることをご存知でしょうか。
この記事では、ポリカーボネートの詳しい解説やメリット・デメリット、似た素材であるアクリルとの違いなどを詳しく解説します。カーポートやベランダの屋根を修理などで新しくしたい方、ポリカーボネートについて詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
ポリカーボネートとは
ポリカーボネートとは、熱を加えると柔らかくなる熱可塑性樹脂の一種で、さまざまな製品に使用される汎用プラスチックの仲間です。高い透明性と耐衝撃性、軽量で加工がしやすい
といった特徴を持ち、工業製品や自動車部品、日用品などさまざまな用途に使用されています。建築用資材としては、ポリ塩化ビニルやアクリルと入れ替わるかたちで、ベランダやカーポートの屋根などにポリカーボネートが多く使用されるようになりました。
ポリカーボネートの種類
ポリカーボネートの種類は次の通りです。
・平板ポリカーボネート
・波板ポリカーボネート
・中空ポリカーボネート
平板ポリカーボネート
平板は、一枚の平らな板にしたシンプルな形です。ポリカーボネートの形の中で最も透明度を確保できる形で、ガラスのように採光を目的として使われる場合もあります。他にも着色されたものや、すりガラスのような加工がされたものなど、色のバリエーションが豊富にあります。屋内・屋外を問わず使用されており、カーポートの屋根やサンルームの屋根、屋外に設置する看板などに多く使用されます。
波板ポリカーボネート
波板は、ポリカーボネートの板を連続する波のように成形した形です。波状の形にすることで曲がりにくく、折れにくくなります。通常、薄い板を曲がりにくくしたい場合には厚みを増す方法がありますが、その分重くなってしまいます。波状の形は、軽く薄い板のままで曲がりや折れに対する強度を上げる方法で、ガードレールの成型技術にも使用されています。また、波状にすることで雨水が流れやすいといったメリットもあるため、カーポートやベランダの屋根として採用されることが多いです。平板と同じく、透明なものや色つきのものがあり、近年ではレッドやグリーンなどカラフルなものも販売されています。
中空ポリカーボネート
中空ポリカーボネートは、薄い二枚のポリカーボネートを合わせて作られた形で、段ボールのような断面になっている特徴があります。内部に空気の層ができるため断熱性に優れ、屋内・屋外問わず使用できます。構造上透明性が低いため、目隠しとして大小さまざまなパーテーションに使用されることも多くあります。また、他の形状に比べて切断や穴あけなどの加工が容易なため、DIYの材料としても活用されています。
ポリカーボネートのメリット
ポリカーボネートのメリットは次の通りです。
・耐衝撃性が高い
・透明度が高い
・耐熱性・耐寒性が高い
・燃え広がりにくい
・非常に軽量
耐衝撃性が高い
ポリカーボネートは耐衝撃性が高いというメリットがあります。一般的なガラスの200倍以上の耐衝撃性を持つと言われており、かつ弾力性に優れるため割れにくい特徴があります。
航空機や自動車部品、防弾ガラスの材料にもなっていることも、耐衝撃性の高さを裏付けています。
透明度が高い
ガラスに匹敵する透明度を持つこともメリットの一つです。その透明度を活かし、携帯電話の全面板や航空戦闘機のキャノピー、自動車のヘッドライトなどにも採用されています。植物などを育てる温室の天井や壁にポリカーボネートを採用することで、日光をふんだんに取り入れる工夫がされたものもあります。
耐熱性・耐寒性が高い
ポリカーボネートは、耐熱性・耐寒性が高いこともメリットです。最低使用温度と最高使用温度は-40〜120度であるため、寒い冬や暑い夏など季節に関係なく過酷な環境に置かれるカーポートやベランダ、サンルームの屋根にも安心して使用できます。
燃え広がりにくい
ポリカーボネートは自己消火性を持ち合わせるため、燃え広がりにくいメリットがあります。自己消火性とは、大気中に炎などの熱源が無くなった際に燃え広がらず、自ら消化する性質です。不燃性・難燃性など、4つある燃えにくさを示す耐燃性レベルでは、下から2番目の燃えにくさに位置しており、火災によるリスクを減らすことができます。
非常に軽量
ポリカーボネートは、薄いプラスチックの一種であるため非常に軽量です。そのため、施工時にはそれほど力を必要とせずに運搬や設置ができる特徴があります。
ポリカーボネートのデメリット
ポリカーボネートのデメリットは次の通りです。
・傷が付きやすい
・耐薬品性が低い
・耐用年数がそれほど長くない
傷が付きやすい
ポリカーボネートは比較的柔らかい素材なため、傷が付きやすいデメリットがあります。傷が付くと白っぽくなり透明度が落ちてしまうため、掃除が必要な場合は、硬いブラシなどを使わずに、柔らかいタオルなどで水を掛けながら拭き取りましょう。
耐薬品性が低い
ポリカーボネートは薬品に弱い特徴があります。特にアルカリ性や溶剤に弱いため、アルカリ性洗剤や接着剤などは使用できません。割れやひび、変形の原因になるため、汚れを落とす際には中性洗剤などを使用しましょう。
耐用年数がそれほど長くない
ポリカーボネートの耐用年数は10〜15年と、それほど長くありません。耐用年数を超えたポリカーボネートは弾力性が低下し強度が弱まるため、衝撃が加わるとひびや割れが起こりやすくなります。施工から10年を超えたポリカーボネートを使用しているようであれば、強度が弱まっている可能性が高いため早めの交換が必要です。
ポリカーボネートとアクリルの違い
ポリカーボネートとよく似た素材にアクリルがあります。アクリルは、ポリカーボネートが登場する以前にカーポートの屋根などで使用されていた素材で、ガラスを凌ぐ透明度を持つため、水族館の大型水槽のような水圧に耐える厚みでも、十分な透明度を確保できる特徴があります。また、ポリカーボネートに比べて硬く、傷が付きにくいですが、耐衝撃性は1/50に留まります。耐燃性の面では、自己消火性がなく燃えやすい可燃性ですが、価格が安価で加工がしやすいメリットがあります。
ポリカーボネートで屋根を修理する前に
ベランダやカーポート、サンルームなどの屋根は屋外にあるため、自然災害の被害を受けやすい環境です。自然災害による被害が原因で屋根を修理する際には、火災保険が適用されないか確認しましょう。風や雪、ひょうなどにより屋根が破損した場合、損害を火災保険で補償してもらえる可能性があります。ただし、補償内容に「風災・ひょう災・雪災」が含まれていない場合や、被った損害額によって異なる場合があるため、保険会社や代理店などによく確認しましょう。
まとめ
この記事では、ポリカーボネートの詳しい解説やメリット・デメリット、似た素材であるアクリルとの違いなどを詳しく解説しました。ポリカーボネートには形が3種類あり、カーポートなどの屋根として使われるのは、平板や波板です。
とくに波板は曲がりにくく、雨水が流れやすい特徴があるため屋根の素材として最適です。
株式会社ハジメは、屋根に関する施工を幅広く手掛ける千葉県千葉市の屋根専門店です。屋根は住宅で広い面積を占める重要な場所です。屋根に使われている素材にもよりますが、数年に一度は点検や塗装によるメンテナンスが必要になります。
ポリカーボネート製の屋根は、10年を超えると劣化し脆くなるため破損しやすくなります。住宅の屋根だけでなく、カーポートの屋根も株式会社ハジメにお任せください。適正価格で必要な施工だけを行います。