コロニアルクァッドとはどんな屋根材?特徴や注意点を解説
2024/03/27
新築や屋根のリフォームを検討されている方の中には「コロニアル」という単語を見聞きした方も多いのではないでしょうか。コロニアル屋根のスタンダードであるコロニアルクアッドは、スレート素材の屋根材の代表的なモデルの一つです。
この記事ではコロニアルの概要やコロニアルグラッサとの違い、コロニアルクアッドの特徴・注意点を解説します。
新築や屋根リフォームを検討中の方や、将来に予定のある方、コロニアルクアッドについて詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。
そもそも「コロニアル」とは
コロニアルは、外壁や屋根材などの建材メーカーであるケイミュー株式会社が販売するスレート素材の屋根材の名称です。
セメントを基材に、耐久性を確保するための繊維素材を混ぜ、薄いプレート状にしたものがスレート素材で、かつて繊維素材には保湿性・耐熱性の高いアスベストが使用されていました。アスベストは中皮腫や肺がんの誘因になることが指摘されるようになり、現在では繊維素材としてアスベストに変わる素材が使用されています。
コロニアル屋根は大きく分けて三つの世代に分けることができます。
第一世代は繊維素材にアスベストを使用したもので、非常に高い耐久性がありました。
第二世代はアスベストの健康被害問題を受けて造られた、アスベストを使用しないノンアスベストのコロニアル屋根です。ですが、第二世代のコロニアル屋根は、どのメーカーのものも耐久性に大きな問題を抱えたものになってしまいました。
第三世代は現在現行で販売されているモデルで、耐久性の問題を改善したと言われていますが、販売からまだ十数年しか経過していないため十分な検証がされているとは言えず、耐久性への評価は未知数な部分があります。
ケイミュー株式会社の前身である久保田建材工業株式会社(株式会社クボタ)が、1961年に「カラーベストコロニアル」として発売を開始し、現在まで60年以上続くロングセラー商品となっています。高いシェアを誇り広く普及したことで、施工業者の間では「スレート素材の屋根材」を表す言葉として「コロニアル」または「カラーベスト」といった単語が使われるようになりました。
コロニアルクァッドとは
コロニアルクァッドは、ケイミュー株式会社の販売するスレート素材の屋根材である「カラーベスト」のラインナップの一つです。
カラーベストには次の4つの種類があります。
・プレミアムグラッサ・シリーズ
・遮熱グラッサ・シリーズ
・グラッサ・シリーズ
・クァッド・シリーズ
この中でコロニアルクァッドは「クァッド・シリーズ」にあたり、カラーベストの中でもっともスタンダードなスレート素材の屋根材です。
コロニアルクァッドとコロニアルグラッサの違い
コロニアルクァッドと似た種類に、グラッサ・シリーズのコロニアルグラッサがあります。コロニアルグラッサはコロニアルクァッドより上位グレードのモデルで、主な違いは次の4つです。
・表面仕上げコーティング
・色の変色に対する保証期間
・価格
・カラー数
コロニアルクァッドとコロニアルグラッサの比較表
コロニアルクァッド | コロニアルグラッサ | |
---|---|---|
表面仕上げコーティング | アクリルコート | グラッサコート |
色の変色に対する保証期間 | 2年 | 10年 |
1坪当たりのメーカー価格 | 17,160円 | 17,820円 |
カラー数 | 12色 | 16色 |
コロニアルクァッドの表面仕上げは一般的な有機系塗料のアクリルコートですが、コロニアルグラッサの表面仕上げに使用されているグラッサコートは、紫外線に強く陶器の平板瓦とほぼ同等の変色耐性を持つため、ケイミュー独自の試験ではおよそ30年経過しても色褪せしにくい性能を持っています。
そのため色の変色に対する保証期間が異なり、アクリルコートのコロニアルクァッドが2年であるのに対し、グラッサコートのコロニアルグラッサは10年に設定されており、5倍の保証期間があります。1坪当たりのメーカー価格は、コロニアルグラッサがわずかに高く、カラー数は4種類多い16種類です。
コロニアルクァッドの特徴
コロニアルクァッドの特徴として次の4つがあります。
・比較的安価
・陶器瓦と比べて軽量で耐震性が高い
・カラーバリエーションが豊富
・施工が容易で施工業者社を選ばず工期が短い
比較的安価
コロニアルクァッドは、他の素材の屋根材に比べて比較的安価に施工できる特徴があります。
ケイミューの素材の異なる屋根材との比較表
1坪当たりのメーカー価格 | |
---|---|
コロニアルクァッド(スレート) | 17,160円 |
雅(軽量セメント瓦) | 20,680円 |
リコロニー(鋼板製屋根) | 27,280円 |
コロニアルクァッドは軽量セメント瓦である「雅」と比べて3,500円ほど安く、鋼板製屋根の「リコロニー」と比べ10,000円ほど安いという特徴があります。コロニアルクァッドは屋根の葺き替えやリフォームなど、コストを抑えてなるべく安価にしたい場合にもおすすめです。
陶器瓦と比べて軽量で耐震性が高い
地震による建物の揺れは振り子の原理と同じく、屋根など高い場所の重量が重ければ重いほど大きくなります。これは建物の重心が高くなるためで、反対に屋根の重量を軽くし重心を下げることで建物の揺れを抑えることができます。
古い日本の住宅屋根は、耐久性が高く重い陶器瓦が一般的でした。ですが、1995年に発生した阪神・淡路大震災をきっかけに、一般住宅にも耐震性を求める声が高まり、重量のある陶器瓦は敬遠されるようになりました。陶器瓦に変わる屋根材として、軽量で比較的安価なコロニアルクァッドをはじめとしたスレート素材の屋根材が、シェアを大きく伸ばすようになった背景があります。
1坪当たりの重さでは、陶器平板瓦が約140kg、コロニアルクァッドが約68kgと、およそ1/2の重量に抑えられるため、建物の耐震性を高めることにつながります。
カラーバリエーションが豊富
12色の豊富なカラーバリエーションもコロニアルクァッドの特徴の一つです。ケイミューの軽量瓦屋根である「雅」は6色、同じく金属鋼板屋根の「スマートメタル」は3色です。ブラックやグレーだけでなくグリーンやオレンジなどもあるため、和風・洋風どちらの外観にも合わせることができ、住宅のトータルデザインを崩すことなく豊富なカラーの屋根材を選べる楽しみがあります。
施工が容易で施工業者社を選ばず工期が短い
コロニアルクァッドは施工が容易なため、工期が短く済む特徴があり、また、屋根材としてのシェアが高かったことで、施工できる業者が多いメリットもあります。あまりメジャーではない屋根材を選んだ場合、施工業者によっては取り扱っていなかったり施工経験がないこともありますが、コロニアルクァッドであればそういった可能性は低くなります。
コロニアルクァッドの注意点
コロニアルクァッドの注意点は次の3つです。
・経年劣化でひびや割れが起こることがある
・苔や藻が発生することがある
・定期的なメンテナンスが必要
経年劣化でひびや割れが起こることがある
スレート素材であるコロニアルクァッドは、セメントが原料になっています。セメントは本来水分を吸収してしまうため、表面には耐候性を高めるための塗料によるコーティングが施されています。コロニアルクァッドの場合、前述の通り一般的な有機系塗料のアクリルコートが施されているため、耐候性が極めて高いわけではありません。
そのため経年劣化により屋根材表面の塗膜によるコーティングが剥がれてくると劣化が進み、ひびや割れが起こることがあります。ひびや割れはシーリングや部分的な差し替えにより補修できます。
苔や藻が発生することがある
上記と同じ理由で劣化が進むと屋根材表面の細かい凸凹が露出してしまい、苔や藻が発生することがあります。特に屋根の北側は日光が当たりにくくなるため苔や藻が発生しやすく、美観の悪化につながります。
定期的なメンテナンスが必要
コロニアルクアッドの耐用年数は30年前後と言われていますが、上記の通り表面塗膜のコーティングの劣化は屋根材そのものの劣化を早めます。コロニアルクアッドは10年毎の定期的なメンテナンスを必要としています。
メンテナンス内容は部分補修や塗り替えですが、色褪せや変色が起こっても屋根材としての基本的な性能に変わりはありません。棟板金の浮きや屋根材のズレには部分補修を、その他美観上必要に応じて塗装によるメンテナンスを推奨しています。
まとめ
この記事では、コロニアルの概要やコロニアルグラッサとの違い、コロニアルクアッドの特徴・注意点を解説しました。
「カラーベストコロニアル」はブランド名でしたが、圧倒的なシェアと知名度により、スレート素材の屋根を表す言葉として施工業者の間で定着していきました。
安価で軽量なうえ、カラーバリエーションが豊富で施工業者を選ばない特徴があり、コロニアルなどのスレート素材の屋根材が、使用率でNo.1を獲得する時期もありました。コロニアルグラッサとの大きな違いは表面コーティングやカラーバリエーションです。10年毎の定期的なメンテナンスが必要な点も忘れないようにしましょう。
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