屋根の野地板(のじいた)とは?役割や重要性について
2024/03/27
スレート屋根や金属屋根、瓦屋根などの屋根材を使用する場合、必ず屋根の下地材として使用されるのが野地板です。屋根材には多くの種類がありますが、これらを支え屋根に固定する野地板にも種類があることをご存知でしょうか?
この記事では、野地板の役割や重要性、種類やメンテナンス方法・メンテナンス時期を解説します。屋根修理やメンテナンスでは、屋根材だけでなく下地である野地板のメンテナンスも大切です。
屋根修理やメンテナンスを検討されている方や、野地板の役割・重要性を知りたい方はぜひ参考にしてください。
野地板とは
野地板とは、瓦やスレート、金属鋼板などの屋根材を固定させるパネル状の下地の板です。屋根は外側から、屋根材・防水シート(ルーフィング)・野地板・垂木の順に構成されているため、一般の人が野地板を目にすることはほとんどありません。野地板の状態を確認するには、屋根材を剥がすか屋根裏から確認する必要があります。
野地板の役割
上記の通り、野地板は屋根材を固定する役割があります。野地板は垂木と呼ばれる屋根裏のあばら骨のような木材に釘やビスで固定されており、屋根材は釘やビスで野地板と共に垂木に固定されています。野地板の上には防水シートが敷かれているため、屋根材が何らかのかたちで破損した場合でもすぐに雨漏りが起こるわけではありません。
一般住宅において、屋根材・防水シート・野地板の3つはセットで屋根を構成する部材です。野地板がなければ屋根材を固定できず、防水シートを張ることもできません。普段目にすることがない野地板ですが、重要な役割を担っているのです。
野地板の種類
野地板は大きく分けて次の3つの種類があります。
・構造用合板
・バラ板(スギ板・荒野地)
・耐火野地板
構造用合板
現在、一般的な住宅で最も多く使用されている野地板が構造用合板です。構造用合板は構造耐力上主要な部分に使用される目的で造られた合板で、ベニヤ板を複数枚重ね合わせ接着剤で接着したものです。主に木造建築物の壁下地・床下地・屋根下地(野地板)に使用され、耐震性や耐風性を高めることができます。
構造用合板はJAS規格で定められており、強度によって1級・2級と等級がありますが、野地板などの屋根下地には、主に等級2級・厚み12mm以上・910 mm×1820 mmの通称サブロク(約3尺×6尺)サイズの構造用合板が用いられるのが一般的です。
構造用合板と似たものに、普通合板やコンパネ(コンクリートパネル)があります。普通合板は内装などに使用され、コンパネは基礎部分などコンクリートを流し込むための囲いに使用されます。似たような木製の板ですが、強度や使用用途がまったく異なるので注意が必要です。
スギ板(バラ板・荒野地)
スギ板は、構造用合板が普及する以前や粘土瓦屋根などに用いられていた野地板です。スギ材を90mm〜120mmの板状にカットしたもので、サイズがバラバラなことから「バラ板」や「荒野地」などと呼ばれることもあります。
構造用合板は屋根に隙間なく並べて設置しますが、杉板は隙間を空けて並べて設置するのが特徴です。間隔を空けて設置することで空気の通り道を作り、湿気を貯めさせない狙いがあります。以前は防水シートの性能が現在ほど高くなく、屋根裏に湿気が貯まりやすかったことから、スギ板を野地板に使うことで湿気対策をしていました。
通気性が高いためスギ板自体が傷みにくく耐久性が高いのですが、強度は構造用合板より低いため、太陽光パネルの設置を検討している場合は避けたほうが良いでしょう。構造用合板にくらべ設置に手間がかかることや、防水シートの性能が上がったことから現在では使用されることは少なくなりましたが、耐久性が高いことなどメリットがあるため、一部のハウスメーカーでは積極的に採用している場合もあります。
耐火野地板
耐火野地板は、その名の通り耐火性能の高い野地板です。野地板といっても木の板ではなく、セメントを原料に木片などを混ぜてパネル状にしたもので、30分程度の火災に耐える性能を持っています。建築基準法では、防火地域・準防火地域・屋根不燃区域にあたる地域で耐火野地板の使用が義務付けられています。
野地板のメンテナンス方法
野地板をメンテナンスするには、屋根材を一度剥がして防水シートや野地板を見えるようにしなければなりません。屋根のリフォームやメンテナンスには、古い屋根に新しい屋根材を被せる「カバー工法」と、古い屋根材を剥がして新たに屋根材を設置する「葺き替え工事」がありますが、野地板をメンテナンスする場合は必然的に「葺き替え工事」を選択することになります。
増し貼り
増し貼りは、古い野地板の上から新しい野地板を重ねて張る方法です。野地板のメンテナンスは基本的にこの「増し貼り」で行われます。というのも、古い野地板を剥がして張り替えるには大きなリスクがあるからです。
古い野地板を剥がすのは、一般の人が考えるよりかなりの労力を使ううえ、固定されている垂木に不要なダメージを与える可能性があります。さらに、剥がしているうちは屋根が無防備になるため、雨が降れば屋内が水浸しになってしまいます。このようなリスクを回避するため、張り替えではなく増し貼りが基本のメンテナンスとなります。
増し貼りは、古い野地板に新しい野地板を重ねて貼るため、屋根重量が重くなるデメリットがあります。
張り替え
野地板が、何らかの理由で腐食してしまっている場合などには野地板の張り替えを行います。腐食の多くは、防水シート下への雨水の侵入が原因で、垂木や屋根の骨組みにまで腐食が進んでしまっている場合もあります。複数個所の野地板が腐食している場合や、垂木などにまで腐食が進んでいる場合は腐食した箇所を交換する必要があります。
屋根全面の野地板を張り替えた場合、古い野地板を剥がす作業や古い野地板の処分費などがかかるため、増し貼りをするよりもコストがかかり工期も長くなります。野地板の全面張り替えは屋根重量が重くならないメリットがありますが、前述の通り大きなリスクを伴います。
野地板の耐用年数やメンテナンス時期
野地板の耐用年数は、腐食などがなければ構造用合板で30年、スギ板で40年と言われています。スレート屋根や金属屋根の耐用年数は30年ほどなので屋根のメンテナンス時期で葺き替えを行う際、同時に野地板のメンテナンスをするのがおすすめです。
粘土瓦の耐用年数は50年以上と言われているため、屋根材の寿命が野地板の寿命を上回ることになります。瓦屋根は屋根の頂点である棟を支えるために漆喰と呼ばれる材料が使われており、この漆喰のメンテナンス時期は15年ほどです。メンテナンスには漆喰を詰め直す作業が必要で、2度めのメンテナンス時期には漆喰とともに瓦のズレなどの不具合が出ている場合も多く、一度瓦を全て取り外し再度並べ直す作業を行います。
このタイミングがちょうど野地板の寿命である30年と重なるため、屋根瓦のメンテナンスと同時に野地板のメンテナンスを行うのをおすすめします。
野地板を長持ちさせるためには
野地板が傷む原因のほとんどは水分を吸収することによる劣化や腐食です。野地板を長持ちさせるためには、屋根裏や屋根材・防水シート・野地板間に湿気を貯めさせない事が大切です。屋根の頂点に設置する換気棟は屋根裏に空気の流れを造り、湿気を外に逃がす働きがあるため野地板を長持ちさせるうえで有効です。
まとめ
この記事では、野地板の役割や重要性、種類やメンテナンス方法・メンテナンス時期を解説しました。野地板は屋根材や防水シートを屋根に固定するための、無くてはならない重要な部材です。構造用合板・スギ板・耐火野地板の種類があり、現在では構造用合板が使用されることが多く、粘土瓦や一部のハウスメーカーではスギ板が使われることもあります。
防火地域・準防火地域・屋根不燃区域では、耐火野地板を使用する義務があります。メンテナンス方法は増し張りが基本でリスクが少なく安心です。野地板の寿命は構造用合板で30年、スギ板で40年ほどあるため、屋根の葺き替えメンテナンスと同時に野地板のメンテナンスをするのが理想です。
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