屋根に生える苔の原因と予防方法を解説
2024/04/30
新築や屋根の修理・リフォームから年数が経過すると、屋根の一部が変色しているのを目にすることがあります。これは、撥水性能を失った屋根に発生した苔です。
屋根に発生した苔は、住宅の美観を損なうだけでなくさまざまな問題を引き起こします。この記事では、屋根に生える苔の原因や問題点、予防方法などを解説します。
屋根の修理やメンテナンスを検討中の方、新築から年数が経過し屋根の苔が気になる方はぜひ参考にしてください。
屋根に苔が生える原因
苔は、空気中を漂っている胞子が屋根に付着し、根を張り増殖することで発生します。屋根材には数多くの種類がありますが、耐久性を高めるために塗装されているのが一般的です。塗装された屋根材の表面は塗膜によって保護されるため、ツルツルして水はけがよく、雨水などが付着しても屋根材表面をスムーズに流れ落ちるようになっています。しかし、経年により塗膜が劣化すると撥水効果が失われ、屋根材表面はザラザラになってしまうため、雨水などの水分が屋根材表面に留まるようになります。そのため、飛来した苔の胞子が屋根に留まることで根を張り、残った水分で成長・繁殖する原因となってしまいます。
苔が生えやすい住宅環境の特徴
苔が生えやすい住宅環境の特徴は次の通りです。
✅屋根に日光が当たりにくい
✅屋根材がスレートまたはセメント瓦やコンクリート瓦(モニエル瓦)
✅森や林が近くにある
✅川や池が近くにある
屋根に日光が当たりにくい
住宅密集地やビルなどの高い建物が近隣にある地域は、日光が遮られるため日当たりが悪くなりやすく、屋根に日光が当たりにくくなることがあります。苔はジメジメした水分のある場所で繁殖しやすいため、日光が当たりにくく屋根表面の水分が蒸発しにくい日陰は恰好の繁殖場所になってしまいます。また、日当たりのよい立地でも、屋根の北面などの日光があたりにくい面では苔が発生しやすい傾向にあります。
屋根材がスレートまたはセメント瓦やコンクリート瓦(モニエル瓦)
スレートの屋根材を採用していた場合、経年劣化によって表面がザラつきやすく、水分を吸収しやすいため苔が繁殖しやすいという特徴があります。また、セメント瓦やコンクリート瓦(モニエル瓦)にも同様の特徴があります。これらの屋根材は施工から10年ほど経過すると、表面の塗膜が劣化してしまうため注意が必要です。反対に金属屋根を採用していた場合は表面の塗膜が劣化しても、スレートやセメント瓦、コンクリート瓦ほど表面がざらつかないため苔が繁殖しづらい特徴があります。
森や林が近くにある
森や林が近くにある場合、苔の胞子が飛来しやすいため苔が発生する確率が高くなります。また、庭先に背の高い樹木などがある場合、落ち葉や小枝が屋根に堆積しやすく屋根材表面の塗装の劣化が早まる場合もあります。
川や池が近くにある
川や池が近くにある場合は、周辺の湿度が高くなりやすいため、湿気を好む苔が繁殖しやすくなります。
屋根に生えた苔を放置すると発生する問題
屋根に生えた苔を放置するとさまざまな問題が発生します。発生する問題は次の通りです。
✅美観を損なう
✅屋根の水はけが悪くなり屋根材の劣化が進行する
✅外壁などにも苔が生える可能性が高くなる
✅一度苔が生えると根絶が難しい
美観を損なう
屋根に苔が生え繁殖すると、苔が生えた箇所だけまだらに緑や黄色になるため美観を損ないます。また、苔が生えると飛来した落ち葉や砂、塵なども堆積しやすくなり、他の植物が根を張ってしまうケースもあります。
屋根の水はけが悪くなり屋根材の劣化が進行する
屋根に苔が繁殖すると、雨水などの水分が苔により滞留するためさらに水はけが悪くなります。屋根に水分が滞留する時間が長ければ、屋根材の内部にまで水分が浸透する可能性が高くなるため、表面の塗膜による保護が弱まっていればいるほど屋根材の劣化を進行させることになります。
外壁などにも苔が生える可能性が高くなる
屋根に苔が繁殖すると、苔の胞子を含んだ雨水が屋根を伝って地面へと落ちるため、外壁や雨樋などにも苔が生えるケースがあります。外壁に生えた苔は屋根よりも目立ちやすいため、美観を損ねる大きな原因になります。外壁に苔が発生した場合、屋根から落ちてきた苔が原因となっている可能性があるため、外壁の苔を除去する前に一度屋根を点検し、屋根に苔が発生していた場合は優先して除去するようにしましょう。
一度苔が生えると根絶が難しい
屋根に苔が生えた場合、高圧洗浄機などで除去するのが一般的です。ですが、屋根に生えた苔は屋根材に根を張るため、除去しても根が残っていれば再発する可能性が高く、根絶するのが難しい側面があります。
屋根に発生した苔を除去するには
屋根に発生した苔を除去する方法は、殺菌剤や次亜塩素酸ソーダ(漂白剤)を使用する方法や「高圧洗浄」や「バイオ洗浄」によって除去する方法があります。
高圧洗浄
高圧洗浄機によって屋根の苔を除去します。高圧洗浄機のかけ方によっては住宅の周囲に水や苔が飛散したり、屋根材を傷めてしまう可能性があるため、簡単そうに思えてもプロに依頼するようにしましょう。
バイオ洗浄
バイオ洗浄は、苔やカビ、バクテリアなどの除去や抑制する働きを持ったバイオ洗浄剤を使用する苔の除去方法です。植物成分や中性洗剤を主原料にしており、人体や環境への影響が少ない特徴があります。バイオ洗浄の手順は、まず一度簡単に高圧洗浄機で屋根を洗浄した後に、バイオ洗浄液を屋根全体に噴射します。しばらく時間をおき、高圧洗浄機で洗い流したら完了です。
外壁など屋根以外の場所の苔の除去
外壁や手の届く範囲の苔の除去であれば、ご自身で除去作業をするのも良いでしょう。その場合はスポンジやブラシに薄めた中性洗剤を付け、苔の発生した箇所を擦って落とします。この際、洗剤が目に入らないようゴーグルを着用し、肌荒れ防止にゴム手袋を着用すると良いでしょう。苔を落とす範囲はあくまで安全に作業できる範囲に留め、脚立や転落の可能性のある不安定な体勢になるような箇所はプロに任せるように心がけましょう。
屋根に苔を生やさないようにする予防方法
屋根に苔を生やさないようにする最も効果的な予防方法は、定期的な塗装によるメンテナンスです。前述した通り、多くの屋根材には表面を保護する塗装膜がありますが、10年ほどで劣化し撥水性能が弱まります。そのため10年ごとに塗装による屋根のメンテナンスをおすすめします。特にスレートやセメント瓦・コンクリート瓦など、表面の塗装膜が切れると水分を吸収しやすくザラザラしやすい屋根材には必須のメンテナンスです。
塗料選びには、防藻・防カビ性能の高いものを選ぶと良いでしょう。塗装によるメンテナンスの期間を延ばしたい場合は、金額は上がりますが長持ちする塗料を選ぶ方法もあります。
屋根材を苔が生えにくいものに交換する方法もある
屋根材の劣化が激しく、屋根そのものが寿命を迎えるタイミングで葺き替えやカバー工法を検討しているのであれば、新しい屋根材を苔が生えにくいものに交換する方法もあります。金属屋根は表面が平坦なため、塗装膜による表面保護が弱まっても苔が生えにくい特徴があります。
DIYでの屋根の苔の除去はおすすめできない
DIYでの屋根の苔の除去はおすすめできません。屋根の苔の除去は高所作業になるため不安定で転落の可能性があり、高圧洗浄時にも隣家への水や苔が飛散する可能性が高いためです。プロは足場や飛散防止ネットを設置して作業を行うため、安全性の確保と隣家への配慮を同時に行えます。また、苔の除去は屋根の塗装メンテナンスのタイミングで行うことが多いため、付帯作業として屋根への塗装メンテナンスを行うケースが多いことも理由の一つです。繰り返しになりますが、DIYで苔の除去を行うのであれば外壁など安全な場所の作業だけに留め、不安定な場所はプロに任せるようにしましょう。
まとめ
この記事では、屋根に生える苔の原因や問題点、予防方法などを解説しました。屋根に発生する苔は経年により表れるメンテナンス時期のサインのようなものです。日光が当たりにくく劣化したスレート屋根など、水分が残りやすい箇所に発生しやすく、美観を損なうだけでなく屋根材の劣化を進行させることにもつながります。
苔の除去には高圧洗浄などの方法がありますが、危険を伴うためプロに任せるのが安心です。定期的な塗装によるメンテナンスで予防できるほか、葺き替えやカバー工法を検討中であれば屋根材そのものを苔の生えにくいものに交換する方法もあります。
屋根修理は職人直営店である株式会社ハジメにお任せください。千葉県・神奈川県・東京都・埼玉県にも対応可能です。新築から年数が経過していれば一度屋根のメンテナンスをしてみてはいかがでしょうか。
屋根は住宅の重要な箇所ですが、ご自身で状態を確認するのは難しい所でもあります。株式会社ハジメは基本的な点検やメンテナンス、大規模な葺き替え工事やカバー工法などにも対応しております。どんな事でもお気軽にご相談ください。