トタン屋根とは?特徴やメンテナンス方法について
2024/07/25
トタン屋根は安価で軽量、錆びに強い金属屋根として、古くから多くの建築物の屋根に使用されていました。現在はトタン屋根の進化版とも言えるガルバリウム鋼板屋根が登場し、新たに使用されることが少なくなりましたが、古くから使用されてきた実績豊富な金属屋根でもあります。
この記事では、トタン屋根の特徴やメリット・デメリット、メンテナンス方法について詳しく解説します。トタン屋根の修理やリフォームを検討中の方、トタン屋根について詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。
トタン屋根とは?特徴と普及した背景
トタン屋根は、薄い鋼板に亜鉛めっきを施した屋根材です。軽量で安価なうえ、加工がしやすく比較的錆びにくいという特徴があります。現在は、さらに錆びにくく耐久性を向上させたガルバリウム鋼板が金属屋根の主流になっており、トタン屋根は少なくなっていますが、昔ながらの住宅や工場・倉庫などの屋根に使用されています。トタン屋根は、高度経済成長期に金属屋根材として多く用いられていました。日本でトタン屋根が広く普及するようになったきっかけは、1881年に鉄道の沿線200m以内の建物屋根に、不燃性の素材を葺くことを定めた「防火線路並二屋上制限令」でした。その後1923年に発生した関東大震災では、トタンを屋根に使用したバラックが立ち並び、復興資材として重要な役割を果たしました。
トタンを屋根材に使用するメリット
トタンを屋根材に使用するメリットは次の通りです。
- 価格が安価
- 耐火性に優れる
- 軽量で耐震性が高い
価格が安価
トタンを屋根に使用するメリットとして、価格が安価である点があります。トタンは多くの屋根材の中で、最も安く施工できる屋根材の一つです。
耐火性に優れる
トタン屋根は金属鋼板であるため、燃えにくく耐火性に優れる点もメリットの一つです。建築基準法の不燃材料に認定されており、飛び火による燃え広がりを防ぐことができます。広く普及したきっかけも耐火性に優れていたことが一つの要因であるため、実績に裏付けられた優れた特徴と言えます。
軽量で耐震性が高い
屋根などの高所にあるものが重ければ重いほど地震での住宅の揺れは大きくなります。そのため、屋根を軽くすることが住宅における効果的な地震対策の一つです。トタン屋根は軽量なため、住宅全体の重心を下げて揺れを抑えることができ、耐震性を高めることに繋がります。
トタンを屋根材に使用するデメリット
トタンを屋根材に使用するデメリットは次の通りです。
- 断熱性が低い
- 遮音性が低い
- 現代の屋根材に比べて錆びが発生しやすい
- 定期的なメンテナンスが不可欠
断熱性が低い
トタン屋根に限らず金属屋根全般に言えることですが、熱を伝えやすい金属屋根は断熱性が低いデメリットがあります。そのため、夏には日射により暖められた屋根が下地である野地板に熱を伝えやすいため住宅内が暑くなりやすく、冬には冷気が屋根から伝わるため寒くなりやすい特徴があります。現在広く普及している金属屋根材は、断熱材が一体化したものが多くあり、また、屋根材と下地材の間に断熱材を敷いて断熱効果を高めるといった方法もあります。
遮音性が低い
先ほど解説した通り、薄い鋼板であるトタン屋根は遮音性が低い点もデメリットです。屋根に雨粒が当たると、薄い鋼板が共振してしまうため雨音が大きく聞こえがちになります。断熱材を屋根と下地材の間に挟むことで多少外部の音を抑えることができます。
現代の屋根材に比べて錆びが発生しやすい
普及し始めた当時としては、錆びにくい素材であったトタン屋根でしたが、現在広く普及しているガルバリウム鋼板やSGL鋼板の錆びにくさには到底及びません。トタン屋根は時代の流れと共に、相対的に錆びやすい屋根材となってしまいました。
定期的なメンテナンスが不可欠
トタン屋根は錆びが発生しやすいため、定期的なメンテナンスが必要不可欠です。トタン屋根の錆びは一度発生すると瞬く間に広がってしまうため、早めの予防メンテナンスが必要です。
トタン屋根の劣化症状
トタン屋根の劣化症状は次の通りです。
- 色褪せ
- チョーキング
- 錆びの発生
- 腐食による穴空き
色褪せ
トタン屋根は、表面を塗装することによって防水性を保ち、錆びを発生しづらくしています。劣化の初期段階では、紫外線などの影響で塗膜の色褪せが起こります。色褪せは見た目が悪くなるだけでなく、表面を保護する塗膜と防水性能が落ちてきているサインでもあるため、塗装によるメンテナンスを検討する時期です。表面の塗装が落ち切ってしまうと防水性能がなくなり、錆びが発生する原因になってしまいます。
チョーキング
チョーキングはトタンなどの金属鋼板に触れた際に、白い粉のようなものが付く現象です。色あせと同じく表面の塗膜が劣化し、防水性能が失われている状態です。チョーキングを放置するといずれ錆びが発生するため、早めに塗装によるメンテナンスを行いましょう。
錆びの発生
表面の塗膜が弱まり防水性能が失われると錆びが発生します。小さな錆びでもあっという間に広がってしまうため、塗装メンテナンスなど早めの対処が必要です。
腐食による穴空き
トタン屋根に錆びが広がり腐食が進むとボロボロになり最後には穴が空きます。穴が空いてしまうと雨漏りが起こる原因になってしまうため注意が必要です。小さい穴であれば補修することもできますが、屋根全体に錆びによる劣化が進行している場合はカバー工法や葺き替えによる屋根リフォームが必要になるケースもあります。
トタン屋根のメンテナンス方法
トタン屋根のメンテナンス方法は次の通りです。
- 塗装によるメンテナンス
- 葺き替え
- カバー工法
塗装によるメンテナンス
トタン屋根に色あせやチョーキング、軽度の錆びが広がっている場合には塗装によるメンテナンスが必要です。錆びが進行し屋根がボロボロなっている場合や、穴が空いてしまっている場合には塗装ができないため注意が必要です。塗装メンテナンスのサイクルは、屋根の状態にもよりますが、およそ5年〜10年周期と考えておくと良いでしょう。
葺き替え
葺き替えは、古いトタン屋根をすべて撤去し、新しい屋根材を新たに葺く屋根のリフォームです。トタン屋根がボロボロに劣化していたり、穴が空いてしまっている場合は塗装ではなく葺き替えが必要になります。次に解説するカバー工法よりも費用はかかりますが、屋根を新築と同じ状態にできることがメリットです。
カバー工法
カバー工法は古い屋根の上から新しい屋根を被せるようにして葺く屋根のリフォームです。古い屋根材の撤去費がかからないことや、工期を短くできるなどメリットがありますが、既存の屋根の劣化状態によっては施工できないことや、屋根内部の状態を確認できないこと、屋根の重量が重くなることなどデメリットも多くあります。予算の関係でカバー工法を選択せざるを得ない場合は、施工業者とよく打ち合わせをして、メリット・デメリットを考慮した上で施工を進めてもらうようにしましょう。
塗装によるメンテナンス手順
塗装によるメンテナンス手順は次の通りです。
✅汚れや錆びを取り除くケレン作業
✅高圧洗浄機による洗浄
✅錆び止め塗料を塗る
✅上塗り塗料を塗る
汚れや錆びを取り除くケレン作業
まず初めに、錆びが出ている部分をヤスリやスクレーパー、ワイヤーブラシなどで磨いて錆びを取り除きます。この作業を住宅業界ではケレン作業と言います。また、次に塗る塗料がよく密着するようにヤスリなどで細かい傷をつける作業も行われます。
高圧洗浄機による洗浄
次に高圧洗浄機などで屋根の汚れやホコリ、ケレン作業で落とした錆びを洗い流します。この作業が疎かになると塗料がうまく密着せず、すぐに剥がれる原因になってしまいます。
錆び止め塗料を塗る
汚れを落とし、屋根全体を綺麗にしたら錆び止め効果のある下地塗料を塗ります。この塗料を塗ることで錆びの発生を抑制したり、進行を遅らせることができます。
上塗り塗料を塗る
下地の錆び止め塗料が乾いたら最後に上塗り塗料を塗ります。上塗り塗料には様々な物があるため、施工業者とよく相談し、目的に合った塗料を選ぶようにしましょう。
まとめ
この記事では、トタン屋根の特徴やメリット・デメリット、メンテナンス方法について詳しく解説しました。今ではトタン屋根は少なくなってきていますが、築年数の多い住宅や倉庫などに使用されているケースも多くあります。適切なメンテナンスをしなければ長持ちさせにくい屋根ですので、錆びが出る前に定期的なメンテナンスを行い、劣化を進行させないようにしましょう。
株式会社ハジメは、千葉県を中心に数多くの屋根修理・リフォームの施工実績を持つ屋根修理の専門店です。屋根修理や屋根のリフォーム、雨漏り修理などはお任せください。
トタン屋根と近年主流のガルバリウム鋼板は、見た目がそっくりなため見分けるのが難しい屋根でもあります。お住まいの住宅にトタン屋根が使用されている場合は、屋根のリフォーム時期かもしれません。屋根のメンテナンスや修理を検討している方は、ぜひ株式会社ハジメにお気軽にご相談ください。お待ちしております。