屋根の棟板金(むねばんきん)とは?役割やメンテナンス方法について
2024/04/30
スレート屋根や金属屋根には、棟板金(むねばんきん)と呼ばれる部分があることをご存知でしょうか。屋根の頂点にある棟板金は、日光や風雨の影響を最も受けやすい、過酷な環境に晒される建築資材です。
この記事では棟板金の概要や役割、劣化症状やメンテナンス方法、補修工事の手順などを解説します。屋根修理や屋根リフォームの予定のある方、棟板金について詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。
棟板金(むねばんきん)とは
棟板金(むねばんきん)とは、住宅屋根の頂点に設置される金属の建築資材です。金属屋根やスレート屋根に用いられるもので、瓦屋根の場合は棟板金に変わり棟瓦が用いられます。現在、棟板金の素材は錆びが発生しにくいガルバリウム鋼板が主流ですが、以前は亜鉛めっき鋼板であるトタンが用いられており、錆びが発生しやすいといった問題点がありました。
屋根への固定は、棟板金内部にある「貫板(ぬきいた)」と呼ばれる板に釘で打ち付けて固定しています。棟板金が設置されるのは、異なる屋根面が二面以上ある屋根の形に限られるため、切妻(きりづま)屋根・寄棟(よせむね)屋根・方形(ほうぎょう)屋根には設置されますが、片流れ屋根は一面であるため棟板金は設置されません。
棟板金の役割
棟板金の役割は、異なる面の屋根が合わさる頂点接続部の保護です。屋根の頂点は異なる屋根面の合わせ目になるため隙間が空いています。そのままでは、隙間から雨水が侵入して屋根の下地は水浸しになってしまうため、金属のカバーで隙間を覆って雨水の侵入を防いでいるのです。
また、棟板金の固定先である貫板は、屋根材と共に釘やビスで屋根の下地である野地板に固定されています。そのため、間接的ですが屋根材を屋根に固定している側面もあります。
棟板金固定釘の浮き・抜け問題
新築から7〜10年ほど経過すると、棟板金を固定する釘が浮き・抜けてきます。釘の浮きや抜けが発生する理由の一つに、棟板金の熱膨張があります。金属である棟板金は、日中太陽光に晒され膨張し、日が沈んで涼しくなると収縮します。棟板金が膨張する際、固定している釘も一緒に外側へ引っ張られますが、棟板金が収縮しても引っ張られた釘はそのままであるため、これを繰り返すことで徐々に釘は浮いてきます。そこへ雨が降ることで、浮いた釘が錆び、さらに抜けやすくなります。
釘の抜けで棟板金に発生する劣化症状
釘の抜けで棟板金に発生する劣化症状は「貫板の腐食」と「棟板金の捲れ・飛散」です。
貫板の腐食
棟板金を固定している釘が浮いてくると、釘穴の隙間から雨水が侵入し、内部の木材でできた貫板を腐食させます。腐食した貫板はボロボロになるため、棟板金の固定釘が効かなくなり、最終的には完全に抜けてしまうこともあります。
棟板金の捲れ・飛散
貫板の腐食により固定されなくなった棟板金は浮き、隙間を生じさせます。台風などの強風で、浮いた隙間に風が入ると棟板金は捲れてしまい、最終的には飛散してしまうケースもあります。棟板金が飛散すると屋根頂点の隙間を覆うものがなくなってしまうため、雨漏りを起こす原因になります。そのような場合は、早急に屋根修理を依頼しましょう。
棟板金の点検・メンテナンス方法
棟板金の飛散を防ぐには定期的な点検・メンテナンスが有効です。新築から7~10年ほど経過しているのであれば、釘の浮きや抜けが発生している可能性が高いため、専門業者に点検・メンテナンスの依頼をしましょう。
点検・メンテナンスの方法は、屋根全体の棟板金を点検し、釘の浮きが発生していた場合には、釘の打ち直しと抜け防止のコーキングをするのが一般的です。手順としては、浮いている釘を打ち直してから釘の頭に抜け防止のコーキングを塗ります。釘が抜け落ちてしまっている場合は、別の場所へ新たな釘を打ち固定します。
釘の打ち直しができないほど貫板の痛みが進んでしまっている場合は、棟板金全体の補修工事が必要になります。
棟板金の補修工事方法と手順
貫板の劣化が進み腐食していたり、棟板金が飛散してしまった場合は、棟板金の補修工事が必要になります。棟板金の補修工事の手順は以下の通りです。
・足場の設置
・既存の棟板金を取り外す
・腐食した貫板を撤去する
・貫板を留めていた釘穴をコーキングで塞ぐ
・新しい貫板を設置する
・新しい棟板金を設置する
・足場を撤去して完了
足場の設置
安全性と作業効率の確保、近隣への飛散防止のために足場や飛散防止シートを設置します。
既存の棟板金を取り外す
固定してある釘を抜き、既存の古い屋根板金を取り外します。
腐食した貫板を撤去する
劣化し腐食した古い貫板を撤去します。
貫板を留めていた釘穴をコーキングで塞ぐ
貫板は屋根材・防水シートと共に、釘によって野地板に固定されています。空いた釘穴は新しい貫板によって隠れますが、確実に雨漏りを防ぐため、空いた釘穴をコーキングで塞ぎます。
新しい貫板を設置する
新しい貫板を設置します。木製の貫板の他に、樹脂製や金属製の貫板もあります。樹脂製や金属製の貫板は水分をほとんど吸収しないため、耐久性が高く寿命が長いメリットがあります。高性能な分、金額は高くなるため予算に合わせて好みの貫板を選択しましょう。
新しい棟板金を設置する
設置した貫板の上に新しい棟板金を被せて、釘やビスで留めて設置します。棟板金の素材は、錆びにくく寿命の長いガルバリウム鋼板がおすすめです。
足場を撤去して完了
最初に設置した足場を撤去して完了です。
DIYで棟板金の修理はできる?
「棟板金の修理くらいDIYでもできるのでは?」と考えた方もいらっしゃることでしょう。結論からお伝えすると、棟板金の修理をDIYで行うのはおすすめできません。理由は二つあります。
✅一つ目が、高所作業を伴うためです。DIYで行う場合、足場を設置せずに梯子などで屋根に上ることになるでしょう。その場合、もし足を滑らせて転倒・滑落すれば地面まで一気に落下することになります。高所作業は足場を設置するプロでさえ、転倒・滑落してしまうこともあるほど危険と隣り合わせなのです。
✅二つ目が、施工不良で雨漏りを起こす可能性があるためです。棟板金は、屋根面と屋根面の合わせ目である隙間を覆うものです。そのため、雨漏りが起こらないように、スキルと知識を持つプロによる慎重で確実な施工が求められます。スキルや知識がない人が行うには、求められるハードルが高すぎることや、雨漏りを起こす可能性が高いことから、DIYでの施工はおすすめできません。
屋根修理は屋根リフォームや外壁塗装と同時にするのがおすすめ
足場設置の費用が一度で済むため、屋根修理は屋根リフォームや外壁塗装と同時にするのがおすすめです。これらを別々に行った場合は、その都度足場を設置する必要があるため、余計にコストがかかります。
また、屋根材が寿命を迎える時期と重なるようであれば、葺き替えやカバー工法といった屋根のリフォームと同時に行うことで、無駄なく効率的に屋根全体を新築同様にすることができます。
悪質業者にご用心
屋根修理など、お住いの方の目の届かない場所では、悪質業者による詐欺まがいの行為に注意が必要です。「お宅の屋根の一部が破損しているのが見えたので点検させてほしい」などと言って屋根に上がり、自ら屋根を壊して修理をし、法外な修理代を請求するといった行為が跡を絶ちません。
突然訪問してきたよくわからない業者を屋根に上げるのは危険です。特に屋根修理などの目につきにくい場所は、信頼できる業者に点検・メンテナンスを依頼するようにしましょう。
まとめ
この記事では棟板金の概要や役割、劣化症状やメンテナンス方法、補修工事の手順などを解説しました。屋根の頂点にある棟板金は、異なる屋根面の接続部を保護する役割があります。新築から7〜10年で固定されている釘が抜けてくるため、定期的に点検やメンテナンスが必要です。
内部にある貫板が腐食すると、棟板金を固定できなくなるため交換する必要があり、脂製性の貫板が耐久性が高くおすすめです。DIYでの作業は危険なためおすすめできません。足場台がお得になるため、屋根リフォームや外壁塗装などと同時に工事を行うのがおすすめです。
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